牛小屋とポルノ

イシュケムベチョルバはトルコの名物料理である。

羊の腸のスープで大概はパンとともに朝食時に供される。

僕はそれを1度食べてみたかった。

だが中店が見つからず、食べる機会のないまま

イラン国境の町からここイスタンブールに流れ着いていた。

以前食べたことがあるという日本人に感想を求めると

そうですねえ、あれは牛小屋のにおいがします。という。

牛小屋牛小屋のにおいって一体なんですか

食べればわかります。食べれば

彼は意地悪そうな笑みを浮かべた。

今、僕とT橋君の前にそのイシュケムベチョルバが置かれている。

白濁したそのスープは湯気を立てておりとてもおいしそうだ。

いつものスープの3倍の値段するんすねえ。

それでも240円くらいだけどな。まあ食べようぜ。

僕らはスプーンでスープをすくうと口の中に放り込む。

まったりとした味の羊の腸は口の中でとろけ、その濃厚かつ

すえたにおいが鼻腔をくすぐる。なるほど、まさしくこれは

牛小屋だな。

牛小屋ですね。

というか牛小屋にある発酵わらのサイレージ、そのにおいと

同じなのだ。僕らは脱力した。世界3大料理の栄誉を冠するトルコ料理

今までまずい食べ物に当たったことなど1度も無い食のパラダイス。

その名物料理がこれって一体どういうことかと?

いや食えないわけではない。もっとおぞましい料理などいくらでもあった

しかしねえ。やっぱなあ。

納得いかねえわこれ!

名物にうまいもの無しとは絶対真理だ。ぜひコーランにも加えてほしい、プリーズ。

それでもお残しなどという言葉は僕らの辞書にはない。どうにか完食した後

2人で映画を見に行くことにした。

なあT橋君。

なんすか?

僕はまたひとつ真理にたどり着いたよ。

奇遇すね。俺もですわ。

こういう映画はあれだな。ビデオサイズで見るに限るな。

同感ス。

巨大スクリーンで局部のドアップ見せられても全然うれしくねェ!

僕らが鑑賞しているのはアメリカ産のハードコアポルノ。何故かトルコはこういうのを

解禁している。

つーか思ったよりこれキツくねースか?

スクリーンで見るのがこれ程つらいとはそれにしても一応トルコって

イスラム圏なのになあ。うわあ!液がしてやがる!

小原さん、小原さん。

なんだよ

リバースしそう

やめろオオう!いや、やめて下さいタノンます。困りますから。

ちょっと洒落になりませんから。

そんなこといわれても、うっ!おごごごげ!

おい、しっかりしろお!

の、喉にのどにィー

喉にどうした?えっ!

のどまで牛小屋が来てます。

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